三洋製紙株式会社

採用情報

パートナーシップ・地域との関係

パートナー企業

安心して暮らせるふるさとを守り共に豊かな未来を創造しています

吾妻商事有限会社

https://azuma-sj.com

吾妻商事有限会社は、鳥取県岩美郡岩美町でリサイクル事業、土木事業、解体事業、そして、木質チップ製造などを行う森林環境事業と多彩な事業を展開し、地域の未来と豊かな社会の構築に努めておられる企業です。三洋製紙のバイオマス発電事業のスタート時から木質チップを供給していただいています。三洋製紙との関わりや地元林材を使うメリット、バイオマス発電の可能性などについて、吾妻商事有限会社の山本明英代表にお話を伺いました。

吾妻商事有限会社 代表取締役社長 山本明英
代表取締役
山本 明英 様

*インタビューをお受けいただいた方のご所属・お役職は取材当時のものです。

事業内容を教えてください

リサイクル、土木、解体、森林環境の4つの事業で地域に貢献しています。

吾妻商事有限会社は、昭和33年に吾妻商事として営業を開始し、当初は砂利採取などをメインに事業を行っていました。昭和58年に有限会社を設立し、建設業の許可を取得。都市開発や河川・道路整備などの工事を請け負う中で家屋などの解体事業に着手し、鳥取県内でもいち早く産業廃棄物処理業の許可を取得しました。創業以来、「地域と社会の発展」を念頭に、総合建設業を通して地域に密着した事業を展開してきました。

特に解体工事においては、「限りある資源を有効利用し、環境にやさしい企業」でありたいと考え、自社リサイクル施設を完備し、コンクリートやアスファルトは再生砕石へ、建築廃材などの木材はチップへと、資源の循環に努めてきました。また、近年では、持続可能な社会実現の一翼を担う企業として森林環境事業を立ち上げました。現在は、リサイクル事業、土木事業、解体事業、森林環境事業の4つの分野で、さらなる地域の未来と豊かな社会の構築に貢献しています。

三洋製紙との関わりについて

木質チップの原料回収をきっかけに、新たに林業に参入しました。

三洋製紙のバイオマス発電事業がスタートする際に、木質チップを供給してもらえないかと問い合わせをいただきました。以前から建築廃材などを自社でチップ化していましたが、そのうち65%は県外の製紙会社などに出荷していました。当時は県内への出荷量は少なかったですし、燃料用となると求められる量も多くなり、原料をどうやって集めるかというのが大きな課題でした。しかし、バイオマス発電への燃料供給は、「限りある資源を有効利用し、環境にやさしい企業」という当社のモットーとも合致します。チッパーは既に持っていましたし、「いいチャンスをいただいた」と挑戦することにしました。

森林を健全に保つためには間伐が欠かせませんが、以前は、間伐材の一部は利用方法がなかったため、そのまま山に放置されていました。そこで、当社は地域の森林組合に協力をお願いし、間伐材や枝葉の自社回収を始めました。そして、持って帰った木材をチップ化して出荷するという体系を構築しました。現在では、木質チップの生産量は三洋製紙との取引前と比べて4.3倍となり、県内への出荷は87.5%を占め、木質資源の地産地消ができてきていると実感しています。また、バイオマスボイラーでは輸入材のパーム椰子殻(PKS)も燃料として使われていますが、木質チップの供給を始めたのを機に、鳥取港に入ってくるPKSの荷役も当社で請け負うようになりました。しかし、地元産の木質チップ供給量が多くなったことで、当初の計画よりPKSの輸入量は4分の1程度に抑えられているそうです。同じ地域の経済を担う企業の一員としては、地元産の燃料がより多く使われていることをうれしく思いますが、PKSもバイオマスボイラーの安定的な運行には欠かせないものです。これからも、木質チップの供給とPKSの荷役の両方を責任を持って担っていきたいと思っています。

地元木材を使うメリットについて

地域に木質資源の好循環が生まれて喜ぶ人が増えています。

地元木材を活用することで地域に木質資源のいい循環が生まれ、それによって喜ぶ人が増えました。まず、それまでは価値のなかった林地残材を私たちが搬出することで、少しでも山から収入が得られるようになり、地主さんが喜ばれています。また、林地残材搬出を機に、2020年から林業に参入し、森林組合からの依頼を受けて木材の伐採や間伐などの作業も行っています。当社としても新たな分野に参入できましたし、森林組合からも現場の人手不足の解消につながると期待されています。

間伐材以外にも木質チップの原料を集める取り組みを進めていて、これまで廃棄物として処理されていた道路整備などの公共工事の際に出る枝葉を、燃料用木質チップの原料として活用しています。また、県内では梨や柿、リンゴなどの果樹栽培が盛んですが、冬季に剪定される枝の処分に困っておられる農家は多く、県と県内の農協と連携して、剪定枝を回収する取り組みを始めています。

今後の展望について

事業の可能性を探り、持続可能な循環型社会の実現を目指します。

2021年度に新たに建屋を一棟建てて、チップ化の機械を移設し、原料の搬入や木質チップ搬出の効率を上げ、安全性も高めた上で、木質チップの生産量増加を図っていこうと考えています。また、バーカー(原木の皮をはぎ取る機械)の導入も考えていて、燃料用以外の木質チップの生産量も増やし、販路を広げていこうと計画しています。林業も、森林組合の計画に沿って、皆伐・間伐作業を請け負っていく考えです。木を切ったり、専用の機械を使ったりする林業は技術の習得に時間を要する仕事ですが、幸い当社には技能を指導できるスタッフがいるので、しっかりと技術を継承しながら林業の担い手を育てていきたいです。

燃料用木質チップの生産を行うようになって、新たに林業へも参入し、事業規模が拡大して従業員数も増えました。森林環境事業のいいところは、雇用を増やして地域の経済活性に貢献できるだけでなく、健全な森林を保つことで国土保全にも役立てます。さらに、バイオマス燃料として地域の電力需給に寄与することで、脱炭素社会の実現を目指すカーボンニュートラルの促進にも貢献できます。今後も、社会から必要とされる事業を創造し続け、持続可能な資源循環型社会の実現を目指します。

バイオマス発電の可能性について

地域ごとに発電設備を持っておくことは防災の観点からもとても大切なこと。

現在の私たちの生活は、電気なしでは考えられません。しかし、日本は石油や天然ガスのような資源を持たず、発電の燃料のほとんどを海外からの輸入に頼っているのが現状です。一方で、国土の3分の2を覆う豊富な森林に恵まれています。少し昔の日本では、森林資源をうまく循環させて人々は暮らしていました。今も豊かな緑の山やきれいな川が残っているのは、そうした生活の知恵が脈々と受け継がれているからではないでしょうか。

三洋製紙のバイオマス発電が開始され、この地域にもようやく発電設備ができました。いつどこで災害が起こってもおかしくない時代に、地域ごとで発電設備を持っておくことは防災の観点からも非常に大事なことだと思います。さらに、環境にやさしい再生エネルギーの中でもバイオマス発電は発電量をコントロールしやすく、地元の未利用材を使うことで炭素の好循環を生み出しています。私たちも、三洋製紙に近い事業所の一つとして、安全に、そして安定的に木質チップを出荷し続け、共に豊かで安心して暮らせるふるさとを守っていきたいと考えています。

その他のパートナー企業

素材生産

鳥取県東部森林組合

チップ生産

山陰丸和林業株式会社